国連が原因の解明に取り組む、先天性色素欠乏症のアルビノ襲撃急増の背景とは? [国際]
【3月16日 AFP】アフリカでは先天性色素欠乏症のアルビノを標的にした襲撃が、ここ10年で急増している。「魔術」や謎めいたオカルト信仰に起因する襲撃だという見方がある一方で、それだけでは説明がつかないと指摘する専門家もいる。
自らも先天性色素欠乏症であるナイジェリア人のイクポンウォサ・エロ(Ikponwosa Ero)氏は、国連(UN)が初めて起用したアルビノの人権問題の専門家だ。アフリカ全土でアルビノが無残に殺傷されている原因の解明に取り組んでいる。
2006年以前にもアフリカではアルビノ襲撃事件がまれに起きていたが、過去10年間に大陸全体で激増していることを重く見たエロ氏は、この問題が明らかに一つの社会現象になっており、より踏み込んだ調査が必要だと訴えている。エロ氏はAFPの取材に対し「『魔術』のせいだと言えば皆、そうかと思ってしまう。だがそれは正しくないだろう」と語った。
アルビノに対する暴力の大半は、アフリカ東部のタンザニアで発生している。06年以降、タンザニアでは何十人ものアルビノが虐殺されたり重傷を負わされたりしている。同国では、地中からダイヤモンドを掘り出すための儀式で、アルビノの遺体の一部が使われているという報告がある。
さらに近年は、タンザニアから数千キロ離れたアフリカ南部や西部の国々でも、アルビノ襲撃事件が急増。そのうちの一つシエラレオネでは、07年以降少なくとも60人のアルビノが殺害されている。
アルビノの体の一部を持っていれば富がもたらされるという珍妙で、まじないめいた言い伝えが、この広大なアフリカの各地で比較的、短期間になぜ信奉されるようになったのか。エロ氏は、これこそが鍵となる問いだとみている。
切断されたアルビノの遺体に魔力があるという考えが、植民地化以前のアフリカ大陸に広くあったことを示す証拠は知られていない。
タンザニアとブルンジでアルビノの被害が増加している原因を解明しようと、赤十字国際委員会(ICRC)が09年にまとめた報告書でも「殺害したアルビノの遺体の一部を幸運のお守りに使うという風習は、突然降って湧いたものだ」とされている。
■「魔術」以外の原因
エロ氏は「魔術」以外の原因を探ることが自分の使命だと話している。「いろいろな説がある」中で、エロ氏が「信ぴょう性がある」と考え特に注目しているのが、アフリカの富の増大だ。
この説は、アフリカの経済成長で新たな個人の富がもたらされたことにより、一部のコミュニティーで憤りや疑念が膨らんでいると指摘している。
エロ氏によると、極端な例では「資本主義が奇跡の現象として受け止められ、ある人はとても裕福なのに、自分はどうしてこんなに貧しいのか、人々が理解できない」でいる。そうした状況で、アルビノの遺体の部位が富をもたらすという自称「呪術医」の言葉が説得力を持ち、それをうのみにしてしまう人がいて、さらに広まっている可能性がある。(c)AFP/Ben Simon
(この記事は(AFP)から引用させて頂きました)
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